アルファオスはいかに倒されるのか

アルファオスはいかに倒されるのか

米国のトランプ前大統領が2024年7月13日、米東部ペンシルベニア州で演説中に銃撃を受けた。

140メートル先からの狙撃。

あと数センチずれていたら即死だっただけに、右耳の貫通ですんだのは豪運としか言いようがない。


トランプ氏の銃撃で思い起こさせるのは、安倍晋三元首相の銃撃事件だ。

安倍元首相は、あの銃撃で命を落としてしまった。

トランプ氏、安倍元首相。2人とも卓越した手腕を持つ強力なリーダーだ。

アメリカと日本。大国を率いる群れのリーダー(アルファオス)は如何に倒されるのか。

その答えを見た気がした。

古代ローマの英雄ユリウス・カエサルは、80人以上がかかわったとされる計画によって暗殺された。日本史に燦然と輝く大天才である織田信長も、家来である明智光秀の謀反によって殺されている。

リチャード・ランガムの著作である『善と悪のパラドックス ヒトの進化と〈自己家畜化〉の歴史』には、暴君の資質がある男は処刑されてきた歴史があると説いている。

われわれの祖先は、手に負えない暴君の問題をどのように克服したのだろうか。それは、協力的な行動を発達させる重要な第一歩だったにちがいない。唯一の満足できる説明は、「暴力的で怒りやすい男たち」が「残酷な末路」を迎えるというダーウィンの考えから得られる。処刑仮設は、更新世のあいだに新しい種類の能力が現れたと主張する。集団内で私利のために暴力を行使し、ほかの者にどう思われようと気にしない男を、意図的に殺すことで、初めて男たちの連携が影響力を持ったのだ。つまるところ、そのような男が暴君になるのを防ぐ唯一の方法は「処刑」だった。

『善と悪のパラドックス ヒトの進化と〈自己家畜化〉の歴史』リチャード・ランガム著

これは間違っていないのかもしれない。私はそう感じた。

強力な権力を持つアルファオスも天下無敵ではないのだ。

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