農家はなぜ儲からないのか?
米の値上がりが止まらない
米価格の上昇が止まらない。
2025年4月の時点で米価格は5kg4000円を超えている。
ニュースによるとこれは14週連続の値上がりとのことで、政府は備蓄米の放出という最終手札を切って、米の価格を下げようと奮闘している。
全国のスーパーでのコメの平均価格は今月6日までの1週間で5キロあたり税込みで4214円でした。政府が放出した備蓄米の店頭での販売が先月下旬から始まっていますが14週連続の値上がりとなりました。
NHK「スーパーのコメ平均価格 5キロ4214円 14週連続の値上がり」
しかし、長期的に見て米価格は今後も値上がりしていくだろう。
農業資材の高騰や農業従事者の減少で今後市場への供給が増えることは考えづらく、良くて高止まり、おそらく値上がりし続けていくことが予想されるからだ。
なぜ農業従事者は減っていくのか
農業従事者は減る一方だ。
農林水産省が出す基幹的農業従事者数でも2005年から2020年にかけて右肩下がり。

農林水産省「令和3年度 食料・農業・農村白書」
その基幹的農業従事者も、7割が65歳以上だ。

作り手がいない。供給する人が減るため、コメ価格は今後も上昇する。
なぜ農業従事者は、このように減っているのだろうか。
答えは、農業が儲からないから。
儲からないから、働き世代は農業をやらない。簡単な話である。
農業が儲からない理由
米から得られる熱量(ジュール)と石油から得られる熱量(ジュール)。
同じ熱量という条件なら、お互いどのくらいコストがかかるか皆さんは考えたことがあるだろうか?
答えは下の表の通り。
エネルギー源 | 1MJあたりのコスト(円) | 備考 |
---|---|---|
白米 | 約26.7円 | 人体用・可食 |
石油 | 約4.97円 | 機械・燃焼エネルギー用 |
白米1MJあたりが約26.7円なのに対し、石油は約4.97円。
米は石油に比べて、同じ熱量あたりのコストが高いということがここから分かる。
これは言うなれば、都市が安価な石油を地方(農家)に供給し、割安なレートで地方(農家)から米を得ているということなのだ。
ここに一種の搾取構造がある。
だから親世代は農業を子どもに継がせないようにするし、離農する家が多いのである。
なぜ農業をするのか
現在私は、勤め人のかたわら父と農業をしている。
先祖代々の稼業だからという理由もあるが、私が農業をやる理由はそれだけではない。
農業をやる理由。
それは、一族郎党を守る食料安全保障の施策の一つだからだ。
上下の波はあるが、1970年代に比べると原油価格は上昇している。


石油・ガス掘削リグ稼働数も減少傾向だ。
石油価格は今後も上昇し、それに伴い現在安価な食料価格も上昇していくと見るのが自然である。
マネーで食料を買いにくい時代が必ず来る。
そんな時代、一族郎党を守る食料安全政策が農業なのだ。
さいごに
私はパラノイアだ。
ビビりである。
しかし刻一刻とマネーで食料を買いにくい時代になっている肌感覚がある。
この時代の転換点において、ネクストワールドに必要な武器を少しずつ集め、身に着けていきたい。
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