『世界秩序の変化に対処するための原則 なぜ国家は興亡するのか』を読んでみて/レイ・ダリオ
最近、レイ・ダリオ氏の本にハマっている。
特に彼の著書『世界秩序の変化に対処するための原則 なぜ国家は興亡するのか』は非常に示唆性に富み、面白い。
今回はこの本を読んで私が学んだことをここでアウトプットしたい。
国家の債務の長期サイクル
レイ・ダリオ氏は国家の債務(借金)の長期サイクルについて以下の6つのステージがあると述べている。
ステージ1:a)債務はほとんどなく、b)お金は「ハード」通貨で始まる
ステージ2:それからハードマネーを要求する権利(すなわち兌換紙幣)が登場する
ステージ3:そして債務の増加がやってくる
ステージ4:次に債務危機、債務不履行、通貨切り下げがくる、それにより、貨幣の増発が続き、ハードマネーとのリンクが切れる
ステージ5:そして、不換貨幣の登場。それはやがて、お金の価値の低下を招く
ステージ6:そしてハードマネーに立ち戻る
ステージ1:a)債務はほとんどなく、b)お金は「ハード」通貨で始まる
ステージ2:それからハードマネーを要求する権利(すなわち兌換紙幣)が登場する
ハード通貨とは、貴金属通貨のこと。
貴金属通貨から始まる貨幣は、次第に金や銀と交換できる兌換紙幣に切り替わる。
ステージ3:そして債務の増加がやってくる
兌換紙幣は国の輪転機でいくらでも刷れるため、実際のモノやサービス以上にマネーを発行することができる。
これがいわゆる債務の増加だ。
ステージ4:次に債務危機、債務不履行、通貨切り下げがくる、それにより、貨幣の増発が続き、ハードマネーとのリンクが切れる
一番直近まで金との兌換を続けていたのが、アメリカのドルだ。
と言っても、それも1971年までの話(=ニクソン・ショック)
現在、多くの国で使われる貨幣は不換紙幣だ。金や銀といったハードマネーとのリンクは切れている。
ステージ5:そして、不換貨幣の登場。それはやがて、お金の価値の低下を招く
信用のサイクルがその限界に達すると、中央政府と中央銀行は、多額の債務を発行して、モノ、サービス、投資資産に使われるお金を増発して、経済を回し続けようとする(⇒量的緩和政策:QE)
2008年 リーマンショックや、2020年 新型コロナウィルスのときも、各国で量的緩和政策の導入が見られた。
増発される紙幣。
金や銀といった重石をなくしたマネーは地上から飛び立った風船のように、空へ上昇していき、次第に膨張しすぎて破裂する。
レイ・ダリオはこの著書で以下のように述べている。
自分の財産を守るのに政府に依存すべきではない。それどころか、多くの政府はお金と信用を創造し利用する特権的立場を悪用すると思っていたほうがいい。
『世界秩序の変化に対処するための原則 なぜ国家は興亡するのか』 レイ・ダリオ
通貨単位の変更のことをデノミネーションと呼ぶことがあるが、1998年ロシア、2005年トルコ、2006年~2009年ジンバブエ、2009年北朝鮮などデノミネーションの例は少なくない。
債務不履行になることもある。
ステージ6:そしてハードマネーに立ち戻る
レイ・ダリオ氏は最終的にハードマネーに立ち戻ると述べている。
やはり、真の通貨は金と銀なのだろう。プラチナも現代だと通貨になりうる存在かもしれない。
自分の家族を守れるだけの財産は、日本円ではなく、金や銀・プラチナといったハードマネーで持っていたいものだ。
典型的なビッグ・サイクル
またこの本と言えば、国家の盛衰のビッグ・サイクルについて述べられている本である。
特に、下の図は圧巻だ。

絶頂期から衰退期までの流れについて
⑨生産性の低下
⑩過度な拡張
⑪競争力の喪失
⑫貧富の格差
⑬巨大債務
⑭貨幣増発
ここら辺まではまるで日本の1990年~2025年までの流れを見ているかのようだ。
この後に続くフェーズは、以下である。
⑮内部対立
⑯準備通貨の地位の喪失
⑰弱いリーダーシップ
⑱内戦/革命
このままいけば、治安が悪くなる(もうすでになっているかもしれないが)のは避けられない。
男を中心に地縁血縁共同体で結束していくことが必要になるだろう。
おはり
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