源泉徴収という賢いシステム
毎月、給料明細を見るたびに、「源泉徴収というシステムは実に賢い収税方法だな」と感心する。
この源泉徴収。歴史は古く、1799年にイギリスがナポレオン戦争の戦費調達のために、貴族階級を課税対象に創設した所得税の徴収が起源とされている。
これを国民大衆を相手に「源泉徴収制度」として機能させたのは、ヒトラーによるナチス・ドイツであった。
源泉徴収とは、サラリーマンから確実に税を取るために、給料支払い時に先に税金を取るシステムである。
手元に来るまでに所得税や住民税、社会保険料が支払われているため、納税感が薄れ、毎月(毎年)自分がどのくらいこれらの税金を収めているか無頓着なサラリーマンも多い。
私は昨年、自営として生活していたため、源泉徴収ではなく、自分で税金を納めなくてはならなかった。
市民・県民税年間10万円は非常に重かったのを覚えている。
さて、この源泉徴収制度で税金を納めるのは、サラリーマン(給与所得者)のみである。
自分で事業を運営している人は、「確定申告」という方法で納税する。
サラリーマンと個人事業主。納税すること自体は同じだが、その中身は全く違う。
下の図を見てほしい。
例えば所得税。サラリーマンは売上(額面給与)に対して税金がかかるのだが(図1)、個人事業主は利益に対して税金がかかるのである。
利益とは、売上から経費を差し引いたものである。
経費には、家賃や電気ガス光熱費、スマホなどの通信費、旅費交通費、接待交際費などを計上することができる。
サラリーマンとは可処分所得(自由に使えるお金)が全然違うのである。
世間は事業をやっている人に優遇して作られているのですな。
そんな世界があるとはつゆ知らず、今日もサラリーマンは不利なルールの下で働くのである。
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