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これまでの資産と、これからの資産の話
資産とは、未来の選択肢を確保する手段のことである。
今回は、これまでの資産とこれからの資産について考える。
戦後から今まで、多くの資産クラスの中で人気だったのは、現金、不動産、株、などだった。
この背景には、戦後から今までは治安や法、市場、インフラが安定していたことにより、不動産や株といった富への請求権の価値や期待値が高かったことが挙げられる。
しかし、この環境は今、徐々に変わりつつある。
石油のEROI、つまり石油のエネルギー投資効率がの低下が続けば、これまでのような広域・高密度のネットワークを維持するコストは相対的に上昇していく可能性がある。
そのためインフラや治安などの管理コストが上昇する。債券などの信用のスパンが短期化する。このような現象が起き始めている。
この流れが続いていくと、今後どうなるのか。
今までの日本は高エネルギー社会であり、マネーや株といった抽象資産が強かった。
しかし、今少しずつ移行し始めている低エネルギー社会では、食糧、エネルギー、技能など具体資産が強くなる。
実際、米の価格や電気代、ガソリン代といった食糧やインフラが家計に占める割合は年々高くなっている。
家庭菜園や日曜大工のような「自分で作る・直す」能力の経済的な価値も、以前より意識されやすくなっている。
そして、更に低エネルギー社会が進行すると “資産”と“生活”が分離しなくなると予想される。
つまり、生きるために必要なものが資産となるのだ。
それでは次はそれぞれの資産クラスを詳しくみていこう。
それぞれの資産クラスの分析
今回私が分析する資産クラスは、株式、不動産、金(ゴールド)の3つだ。
株式
まず始めに株式をみていこう。
これは前提として、市場が成長していること、インフラや市場が安定していることが条件として挙げられる。
しかし、先のイラン戦争によるホルムズ海峡封鎖など、グローバルネットワークなど供給網が毀損したり、高インフレが続くことによって需要が崩壊したりするくらい極端化すると“将来利益への請求権”が意味を失われはじめる。
不動産
次に不動産だが、これは人口や都市機能、治安がある程度環境が整ってることが前提条件としてある。
しかし、これが人口減少や修繕費増加、インフラ劣化などが重なることで、場所によっては資産 だった不動産が 負債に転落するリスク恐れがある。
特にこれは、現在進行形で過疎地やインフラ劣化地域で見られている現象だ。
金(ゴールド)
最後に金(ゴールド)だが、これは米国や日本などに依存しない、金(ゴールド)単体で価値を持つことが長所である。
しかし市場が縮小、機能しなくなるローカル社会では額が大きく使いづらい、犯罪に巻き込まれるリスクが増えるというデメリットがある。
エネルギー制約下で残りやすい資産は何か
ではエネルギー制約下で残りやすいのは資産は一体なんだろう。
私が思うのは以下の3つだ。
①直接効用を持つ資産
②低維持コスト資産
③ローカルで交換可能なもの
それぞれ見ていこう。
直接効用を持つ資産
直接効用を持つ資産。
具体的には畑や田んぼなど食糧を作れる資産、井戸や湧水など水が取れる場所・設備、太陽光や薪などエネルギーを作れる設備や資産だ。
低エネルギー社会では、「使える=価値」になる。
低維持コスト資産
これは例えばマキタの工具、日曜大工のスキルなどが挙げられる。
タイヤ交換を自分でできる、網戸や障子を自分で交換できる、庭の木を自分で剪定できる、工具を作って簡単な修理ができるなどなど。
低エネルギー社会では「維持できる=資産」はのだ。
ローカルで交換可能なもの
最後は物々交換できるものだ。
野菜、果物、魚、保存食、嗜好品など、地域で需要があり交換しやすいもの。
それらを備蓄、取れる技術というのは資産になる。
これまでの資産の保全、これからの資産の保全
最後にまとめよう。
資産とは、未来の選択肢を確保する手段のことである。
昨今起きているEROI低下(石油のエネルギー投資効率が下がっていくこと)は、 選択肢の総量を減らしていく。
戦後から今までの 高エネルギー社会では、抽象資産(株・通貨)が強かった。
しかし、これから少しずつ 低エネルギー社会に移行していくなかで、 具体資産(食料・エネルギー・技能)が強くなっていく。
そして、この動きがさらに進むと “資産”と“生活”が分離しなくなる。
ただし注意点として、完全崩壊は連続的ではなく段階的におき、国家や市場は想像以上に粘ることだ。
そのため現実的には「全部捨てて原始化」ではなく、“分散”が最適戦略になっていく。
これから重要になるのは、金融資産をすべて捨てて「自給自足」に向かうことではない。
富への請求権としての資産と、生存実行力としての資産を両方持つことだ。
おはり
