なぜニクソン・ショックは起きたのか
第二次世界大戦後、金と固定比率で交換できる紙幣(=金本位制)はアメリカのドルだけだった。
ニクソン・ショックとは、この固定比率(1オンス=35ドル)による米ドル紙幣と金の兌換を一時停止したことによる、世界経済の枠組みの大幅な変化を指す。
1971年のことだった。
なぜニクソン・ショックは起きたのか。
ニクソン・ショックから3年後。1974年に第1次オイルショックが、1978年には第2次オイルショックが起こっている。
資本主義という社会は、負債の分だけ、経済が「成長」しないとつじつまが合わなくなっていく。
1970年までつじつまが合っていたのは、安い石油があったからだ。
しかし、石油は減耗し、安い石油から採掘にコストがかかる高い石油しかなくなった。
つじつまが合わなくなったため、金とドルの兌換をやめ、実体経済と金融経済の乖離が始まった。
日本の場合
石油の減耗によって、まず安い石油の力によって貿易加工で利益を出していた日本の成長がストップした(1970年〜)
日本の高度経済成長期が終わったのもちょうどこの頃だ。
高度経済成長期が終わった以降も貨幣の量は増え続け、それまでエネルギー消費量を大きく下回っていたGDPはエネルギー消費量と同額近くまで上昇した。(下の図1)
1989年。日本は金融経済と実体経済の乖離をきらい、いきすぎた資産価格の上昇は崩壊した。(バブル崩壊)。
それから20年は、日本は低成長のデフレ経済となり、「失われた20年」に突入した。
アメリカの場合
石油が取れるアメリカの経済成長モデルが失われたのがリーマンショック(2008年)である。
リーマンショックとは、信用力の低い個人向けの住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付きが進み、それらを束ねた証券化商品が値下がり。
それらを大量に保有していたリーマンブラザーズの資金繰りが行き詰まったことが発端だ。
銀行から借り入れをし(負債)、それを返済することで経済が拡大・成長していく資本主義。
しかし、「成長」はできなくなり、市場には負債(紙幣)だけが余ってしまった。
なんとか社会を維持するため、2010年代以降、アメリカ・日本・ヨーロッパをはじめ各国は量的緩和政策を進めている。
世界には紙幣の量がどんどん増え、金融経済と実体経済の乖離はますます広がっている。
今、スーパーに行くと年々商品の値段が上昇しているが、これらのインフレが起こっている原因にはエネショート由来のマネー経済の衰退が背景にある。
コメントを残す