スマート農業に対する違和感
スマート農業。
これはロボットやAI、IoTなどの先端技術を活用して、農業の生産性や効率性を向上させる取り組みのことを指す。
小規模農家をやっていると、この言葉はよく耳にするが、正直農業をあまり知らない人たちの言説だなと感じている。
スマート農業という言葉の節々に感じるのは、「俺は農業はしたくない」というイメージだ。
汚い仕事は機械にしてもらおう。農業従事者はバカだから、AIで予測してもらった方が良いだろう。
そういう気持ちが、スマート農業を推奨・販売している人たちから伝わってくるのだ。
しかし、実際農業をしている現場からすると、これは現場とかなり乖離していることがすぐ分かる。
ただでさえ粗利が少ない農業において、スマート農業を導入しても採算的に割に合わない。
また農家が日々蓄積している経験知を、AIが採算が取れる形で超えるとは思わないからだ。
石油や肥料が高騰している昨今ならなおさらだだろう。
人の身体はエネルギー収支比率的にも優秀で、少ないエネルギー投資で(食糧)多くの生産エネルギーを生み出すことができる。
農業という産業は本質的には、マンパワーを最大限使って利益を出す産業なのではないかと考えている。
であるならば、今農業に必要なのはスマート農業ではなく、農業従事者そのものだ。