地方での商売
『田中角栄 上司の心得』という本を読んでいる。
本の中には多くの心に刺さる名言があるのだが、とりわけ次の言葉は角栄が言った言葉としても有名だろう。
「世の中は白と黒ばかりではない。真理は常に中間にありだ」
世の中は敵と味方ばかりではない。間にある中間地帯、グレーゾーンが一番広い。その層を取り込んでこそ、強い支持につながるのだ。
角栄の高い観察眼がうかがえる言葉である。
この「世の中は白と黒ばかりではない。真理は常に中間にあり」という言葉は、政治だけでなく多くの事柄で通用する話である。
その一つが、都会と地方という対立だ。
Twitterでは、よく都会と地方を対比構造としたツイートが流行っている。
今後発展していく都会と衰退していく地方のような書かれ方をする二つだが、実際は間に広い中間地帯があるのが現実だ。
今回は、東京から地方に帰った私が地方における商売というテーマで語っていきたいと思う。
車窓から見た地元
大学時代の話である。
私は東京から地元に帰るたびに、今後将来性のない地元に辟易した。
毎日どこからしらの場所でスクラップ&ビルドされている東京と違い、ここは昔と変わらない風景が続いている。
統計を見ても、東京の一極集中は止まらない。
反対に生まれ育った県の人口は今後減少していくだろう。
20年、30年後を考えると、衰退していく地元で暮らすよりも都会で基盤を作った方がいいんじゃないか。
そう思った時期もあった。
結局、徒手空拳で都会で成り上がるより、競合も強くなく、家族・親族もいる地元で戦った方が良いという判断で地元に帰った。
選ばなかった徒手空拳で都会で成り上がるという選択肢の分析は未だに続けている。
実際に地方で暮らすと、家族を守れるくらいの商いはできる
実際に地方にもどった後の話をしよう。
私は勤め人の他に、農業と不動産賃貸業をやっているのだが、家族を守れるくらいの商いはできるといった印象だ。
車窓から見た地元は将来性がまるでない街だった。しかし、実際に過ごすと家族を守れるくらいの日銭は稼げる街である。
Twitterでよく見かける発展していく都会と衰退していく地方という世界はそこにはなく、自分と家族を守れる現実のみがそこにある。
そして、それが出来ればもう十分なのである。
思えば大学時代の私は、目線が高すぎた。
頭でっかちだったと言ってもいい。
数字ばかり追い、統計情報と車窓から見た風景で、世界を分かった気になっていた。
リアルとは、生きるとは、もっと粘り強く泥臭いGrit & Grindのようなものである。
目線を下げ、日々の日銭稼ぎができるのなら、これを読んでいるあなたも地方で豊かに生活できるはずである。
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